針ノ木岳(北アルプス後立山連峰) 〜雪渓から針ノ木峠を越えて〜
しばらく日帰り山行がメインになる今日この頃。
(テント用ザックの出番は来年か・・・?)
せっかくのシーズンなのでやはり高山にも行きたいと思い、日帰りで行けそうな高山を物色します。
元々お盆の平日で行く予定が出ました台風。。。
大型の停滞型という超迷惑なやつ。
結局予報も定まらず土曜にずらすことに。
しかし土曜となると人気の山は混む事必至です。
何故山に行ってまで人ごみにさらされなければならないのか。自然を堪能したいのでありまする。
あ、人との触れ合いが嫌いなわけではないです念のため。むしろ山でのさりげない会話はとても好きです。
だけど人ごみや行列はなんか違うかなと思ってしまいます。
テーマパークにきたんやあらへんでと思ってしまうような気がしています。
だからマイナールートやクラシックルートばかり選んでしまいます。
そしてそういうルートは大概長いんですね。
その長さが嫌になることもあるけれど、機械の力でひょいっと手に入れる絶景にはなんだか気が乗りません。家族とか人と一緒ならそれも悪くないけれど。もちろん完璧な自然主義じゃないから車はガンガン使うし、駐車場から登山口まで長く歩くの嫌いだけど。
何が言いたいかって苦労したからこそ景色が美しく、食事が美味しく感じるんじゃないかなぁって当たり前のことですね。
後は昔の人が使った道を歩く事で、感じることや分かることもあるのかなと。
とんでもなく脱線しました。
天気予報と日帰りという条件から北アルプスを選択します。(八ヶ岳は今年3回くらい行ってるし、木曽は日帰りコースが少ない)
ホントは常念山脈がずっと気になってるんですが、むっちゃ混んでそうで中々気が乗りません。蝶は日帰りで行ってみてもいいかなと思ってはいるけど、ね。
さて、本題で行ってきたのは針ノ木岳。
後立山連峰の最南端であり、日本三大雪渓の針ノ木雪渓を有します。
山頂からは鹿島槍や立山、黒部湖を望む事が出来そうでありながら人気の縦走路から離れているので静かに歩けそうです。
お隣の蓮華岳ではコマクサの群生も見られるというからあわよくば二つ踏破出来ないかと目論んでみる。
前日に子供を寝かしつけた後に車を走らせて扇沢駅へ向かいます。
扇沢駅〜大沢小屋
扇沢に着くと駐車場が複数ありました。
登山口に近いのは有料、登山口から少し離れたところにあるのが市営の無料駐車場です。
ここは案外近いので無料に止められるなら無料の方でいいでしょう。
23:30頃に到着して8割ほど埋まっていたが無料駐車場に止められました。
車中泊で3時間半ほど睡眠を取ります。
途中セキリュティアラームのホーンを誰かが鳴らして目が覚めてしまいました。貴重な睡眠時間が・・・。やはり耳栓を使うべきでしょうか。
3:30には起床、準備を整えて4時には出発します。
久しぶりの夜間歩行です。
関電のゲート横に針ノ木岳登山口があります。
登山口に入ってしばらくは関電の道路を何度か横切ります。。
トンネルの手前まで来たら左手に広場があり、そこから本格的に登山道ですね。
と言っても緩やかな道を歩いていきます。
台風の影響で大きめの植物が倒れて邪魔ではありますが、倒木や崩落はないので特に問題ありません。
途中2回枯れた沢を渡ります。
この辺りで日が登り始めますが相変わらずマジックアワーの空は美しい。
写真を撮っていると若い?カップルに追いつかれたので先に行ってもらったところ、韓国か中国の人のようでした。
しかししばらく歩くと女性の方にすぐ追いついてしまいます。男性が見えないので少し歩くと先で待っていました。
男性の方が慣れているのかサクサクと歩いて行ってしまいますが、女性は慣れていなさそうな歩き方です。しかも男性は待つ事で休憩しながら歩く事になりますが、女性が追いつくとすぐ先に行くので女性は休む暇がありません。
少し心配ですが自分も予定があるため改めて先に行かせてもらいます。
このパターンは日本の方でも何組か見かけました。
自分のペースで歩きたい気持ちは分かりますが・・・。少なくともあまり離れるべきではないでしょう。
これで相方がバテて動けなくなったらそれこそ登山どころではありません。
もちろんタフで早い女性も登山者には多いので、逆のパターンもありえますが男性の方が配慮に欠けがちな気はします。僕も気をつけねば。
樹林帯をゆるゆると登って行くと大沢小屋に着きました。
もちろんこの時間はまだやっていません。
もちろんこの時間はまだやっていません。
雪渓があるため貸しアイゼンがぶら下げてありました。
時間はコースタイムぴったりでした。
大沢小屋〜針ノ木峠
さぁここからが長いです。
コースタイム3Hの登りだ。
沢山の種類のお花が数多く咲いています。
写真ばかり撮ってしまい中々先に進めませんね。
簡易的な丸太橋がかけてある所を渡りますが、台風による影響は特になく普通に渡れました。
沢の脇を高巻きで進むと雪渓が現れはじめます。
しかし雪渓で上まで行ける、という感じではなくてかなり雪解けが進んでおり、下が空洞化しているところや穴が空いているところがチラホラありました。
なので雪渓はあるものの基本は高巻きの道を使います。高巻きの道は細くザレているところが多いです。赤テープを確認しながら登って行きます。
補給は米に限る |
所々崩れている |
鯉のぼりやん |
道はザレやガレている |
雪渓の下は空洞 |
ミヤマホツツジ。特徴的 |
鎖場をいくつか通過する |
女郎花(オミナエシ)かなぁ |
トリカブト |
吊舟草 |
トリカブトの蕾 |
ツリフネソウ。可憐。 |
ホタルブクロ。結構大きい |
途中雪渓を渡るところもありますが、あまり長くないのでアイゼンなしで行きました。チェーンアイゼンは一応持参しています。
一箇所対岸に道がついていますが、雪渓が崩れていて進めそうにないところがありました。道はないですが慎重に高巻きして、渡れそうな高さまで行ってから渡ります。後で分かりましたが実は雪で階段がつけてある箇所があり、そこを見落としていました。
後ろにいた方が同じく慎重に高巻きしていたので、少し申し訳ないことをした気分です。
針ノ木側の高巻き道で一部鎖場があります。
普通に通過出来ますが多少濡れていたので慎重に。
ウサギギク |
ミヤマゼンコ。シシウド系は大きさで区別するのかな |
ミヤマダイコンソウ |
モミジカラマツ |
ここは一瞬道が分からなくなる。対岸にピンクテープがある |
高巻いて渡ったが階段があったみたい |
ちょっと少なめだけどヨツバシオガマかな |
大文字草 |
キジムシロ属だと思うけど葉の形がミヤマキンバイとかと違うなぁ・・・ |
かなり登り上げて来ると最後の水場なるものがあります。
この少し先で雪渓は無くなり、ザレた急斜面をジグザグに登り上げて行きます。
この少し先で雪渓は無くなり、ザレた急斜面をジグザグに登り上げて行きます。
僕は普段トレーニングをしていないので、この辺りまで来るとエネルギー補給しても筋肉が言うことをきかなくなってきます。筋肉に語り掛けてもダメなようです。
やはりトレーニングすべきか。
トレーニングなぁ・・・うーん。
そういえば振り返るとスバリ岳から爺ケ岳までの稜線が美しい。
爺ケ岳は名前からしてあまり惹かれませんでしたが、中々どうしてどっしりと構えた山容が見事です。
正に長年生き、その身に多くの経験を持つ爺やと言ったところでしょうか。
さて現実に戻って針ノ木峠を目指します。
峠の標識が見えたので後10分くらいだなと考えましたが全然甘く、20分以上かかりました。
ほうほうの体で針ノ木峠に到着。同時に針ノ木小屋にも到着です。
針ノ木峠〜針ノ木岳
疲れた身体に絶景はとんでもなくキク。
最初野口五郎岳を見た時に薬師岳だ!と思わず叫んだんですが、落ち着いて山座同定してみたら間違いでした。恥ずかしいし普通に変な人だ。まぁいいか。
針ノ木小屋に入ると元気なお子さんが何かご用ですか?と聞いてきたのでバッジをいただきました。
稜線上の山小屋で働いている子供は初めて見たけれど、家族で運営しているんでしょうか。
とても溌剌とした子だったので逆にこちらが元気をもらいました。
さてここから予定通り針ノ木岳に行くか、それとも予定変更して蓮華岳に向かうか。
予報では東から回復する。
そうすると蓮華岳ですが、立山と黒部湖を見たいし、針ノ木雪渓を上がってきたんだから針ノ木岳には登っておきたい。
ということでいささかガスり気味ではありましたが針ノ木岳に向かう事にしました。
風が強く時折空も見えるので、一時的にでも運良くガスが取れることを祈ります。
針ノ木小屋のテント場を抜けて取り付きます。
針ノ木小屋は鞍部に位置し、テント場から北アルプス南部方面も見えるので夜と朝はさぞ絶景でしょう。
最初は急登をしばし登り上げて、そこからは雪渓がある北側斜面をトラバースで歩いて行きます。
ゴツゴツした岩が多いガレ場です。
蓮華岳が見えてくると蓮華岳の上には雲はあるものの山頂にはかかっていない。
一方針ノ木岳の山頂にはガスが・・・。
一瞬引き返して蓮華岳に行くか迷いましたがやはり針ノ木岳に行くことにしました。
こちらも高山植物の宝庫で、チングルマの花を初めて見る事が出来ました。チングルマの実は何度か見ているが花を見るのは初めてです。多分。可憐で可愛らしい。
さらに進んで行くと先に行った人が何やら写真を撮っています。それは何も珍しいことではないですが、どうやら雷鳥だったらしく親切にも教えてくれました。ありがとう!
雷鳥と聞いて(しかも親子!)大喜びで僕も写真を撮る。18-125を持ってきて良かった。
今回知りましたが親鳥はクークーと鳴き、雛鳥はピーチクパーチクと鳴く。親鳥の鳴き方が独特なので今後も注意していればまた会えるかもしれない。
因みに親鳥ももちろんもふもふで可愛いんですが、雛鳥はとんでもなく可愛い。親鳥はあまり動かず雛鳥を見守るようにしているのがまた愛らしい。
写真を撮りまくって眺め尽くして満足して先に行くことにします。
そういえばスバリ岳と針ノ木岳の北側斜面はカールのような地形をしています。
ここに日光が当たればさぞかし美しかろうと思いますがあいにく太陽は雲の中だ。
最後の登りを登り上げると針ノ木岳山頂です。
標識は昔ながらのものが刺さっています。
スバリ岳も一瞬だけ見えました。あまりに一瞬で写真も撮れなかった。悔しい。
スバリ岳は雪渓から見上げるよりずっと急峻な形をしていました。別人のよう。
残念ながら立山や鹿島槍はガスの中で見えませんでした。すごく残念だ。でも仕方ない。また来よう。
何故か野口五郎だけは綺麗に不思議と晴れていました。赤牛岳らしき山も見え、その向こうの水晶や薬師は見えませんね。
そしてなんとここで二度目のハプニング。
先ほどの方が山頂にも雷鳥いますよと再度教えてくれました。なんていい人。ありがとうございます。
こちらもしばらくニヤニヤしながら撮っていると、雛鳥が寄ってきたのでかなり近くで撮影出来ました。相変わらず野生の割に警戒心が薄い気がするが可愛いから許す。北アルプスは人が多いから人馴れしているんでしょうか?
絶滅危惧種なのに、こんなにのほほんとしてていいのかと心配になる。
その後ガスが取れないかと山頂で腹ごしらえして待つことにします。
今回はテーブルを持参しました。
プラスチックで折りたためるもので、軽いのがウリです。なくてもいいですがやはりあると便利。
最近自分の中だけで流行っているパスタにします。無印のペペロンチーノに生ハムを加えると暴力的な旨さ、にはならないが美味しいし彩りも華やかです。パスタは早いし楽だし美味しいし良い。だけど腹持ちは悪い。
しばらく待ったがガスは晴れそうにないので名残惜しいが下山することにします。
下山開始直後に気づきましたが、一瞬間違えてスバリ岳への縦走路に入ってしまいました。
すぐ気づいたから良かったんですが、やはりガスの時など視界不良時は気をつけなければならないなと思います。
来た道を戻って行くが蓮華岳の方がドンドン晴れていきます。蓮華岳が美しいので写真としては嬉しいですが、登山としては悔しい。立山といいまた来なければならないですね。
下山
針ノ木小屋でしばし休憩した後は来た道をひたすら下っていきます。
途中鎖場もあるが特に難しいところはありません。
チェーンスパイクも結局一度も出さなかった。
もし雪渓がしっかり残っていれば、上部の急傾斜部は必須でしょう。
ガスはだいぶ増えてきた |
あのブリッジを渡るのは怖いな |
トリカブト |
鎖場もサクサク下る |
ノアザミ |
なんのつぼみだろう |
わりと急だけど写真だと分からない |
渓流の流れが激しい |
ザレた道をテープを見つけながら降りる |
クルマユリ。コオニユリとの判別は葉と大きさ。 |
ミヤマタンポポ |
ラショウモンカズラっぽい |
シオガマギク属な気がするけど青いな |
ギボウシ |
北アルプスではマイナー気味なルートとは言え、昼近くになると登ってくる人がそこそこいます。
下山時は余裕があるからいろいろ見てしまいます。
パーティ内でリーダー格は余裕だし慣れている風ですが、他の人はヒィヒィで登り方もがむしゃらに登っている、というのも見かけました。
だけど装備はいいものを使っている。
逆に言えば装備と経験者がいれば登れるということでもあるんでしょうか。
自分も物から入るタチではあるけれど中身も伴いたいなと思います。
かと思えば小柄な細身の人が背丈以上の使い込まれた縦走用ザックで淡々と登っているのも見かけたり。いろんな人がいて面白いです。
一つ印象的だったのは、こちらが道をゆずった親子がいたんですが、お子さんはこんにちは、ありがとうを目を見て言ってくれましたが親御さんは完全無視という状態でした。
挨拶するしないは人によるので構いませんが、子供の方が礼義正しいというのもなんだかなぁと。
という僕も毎回にこやかに挨拶出来ているわけでもないので努力したい。
むしろ笑顔がぎこちないのをどうにかしたい。
むしろ笑顔がぎこちないのをどうにかしたい。
下りはとにかく淡々と戻って行き下山しました。
関電の道まで来ると、朝はゲートが閉まっていたのにゲートより先の道路で路駐がたくさん。
下の駐車場に入りきらずにこちらに入れているんでしょうか。
扇沢駅は黒部湖ダムへの起点でもあり観光地となっているため、登山者と観光者が入り混じっていました。下山後にアイスなどに簡単にありつけるのはありがたいですね。
所感
北アルプス北部
遠いので中々来れないんですが、今回初の領域でした。
いつかは立山なども行きたいですが、全く未知の領域だったので偵察がてら今回の針ノ木岳ということもあります。結局立山や白馬方面は見えなかったのであまり地形の把握には役立たちませんでしたが、扇沢へのアクセスやコースタイムとの違いなど把握出来たこともいくつかあります。
花の同定
山座同定ならぬ花の同定がかなり難しい事が分かりました。図鑑などを見ていると、同じ科目の中でも微妙に違うものが多くあります。
生息地、季節、花の形状、色、葉の形などで判別するわけだが中々大変だ。
図鑑を読み込んでおくとサッとその場で同定できるようになるんでしょうか。
使用機材
・Nikon D500
・Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR
・SIGMA 18-125mm F3.5-5.6 DC
コメント
コメントを投稿