鹿島槍ヶ岳・翁ヶ岳テント泊 ~荘厳な鹿島槍、絶景の立山連峰、後立山連峰を望む~
先日の台風19号の被害、凄まじいものでした。映像でしか見ていませんが、千曲川が氾濫している映像は正に東北大震災を彷彿とさせるほどのものでした。
深くは書けませんが被害に遭われた方々の生活再建への道のりを想像するだけで、言葉に表せない想いがします。
さて、元より会社の連休があったため鹿島槍にテント泊で行ってきました。
元々は7月に行けなかった奈良田から臨む白峰三山縦走を考えていたのですが、南アルプスが台風19号の被害で軒並みアクセスができない状態でした。
奈良田-広河原間、北沢峠へのアクセスも無理。そもそも登山道もかなり被害を受けているようです。
元より崩れやすい南アルプス、今シーズンはもう無理ですね。
八ヶ岳、美濃戸のあの橋もまたしても落ちたらしく、台風の影響の凄まじさが実感として伝わってきます。
去年落ちた後改めてかけられたやつを渡ってるんですが、車が通れるかなりしっかりしたものだったように思います。
自然の脅威ですね。。。
しかしものの1週間で復旧し、美濃戸からのアクセスは可能なようです。
南八ヶ岳のバイタリティには感心させられます。
さて、被害が少なくアクセスできそうなのは中央アルプスか北アルプス。
せっかく1泊出来るなら日帰りでは行けないところにしたい。
しかし10月前半で小屋閉めしているところも多く、行けるところは限られてきます。
小屋閉め前なら新越山荘泊で針ノ木サーキット周回とか、キレット小屋泊で五竜鹿島槍縦走とかしたいなぁなんて思ってましたが。
と、鹿島槍のお隣の冷池山荘はギリギリやっている様子。
冷池山荘に泊まれば鹿島槍と翁ヶ岳を歩けるなぁなんて考えます。
冷池山荘には大谷原から赤岩尾根を登り上げるルートと、扇沢から翁ヶ岳を縦走してくるルートがあります。
大谷原から扇沢に降りれないかなど考えましたが車の回収が難しそうです。マイカーの悩ましいところですね。
扇沢からの方が上がるのが楽そうですが、駐車場が混雑しそうなのと、帰りに翁ヶ岳を登り返さなければいけないのがちょっと微妙かなと思い大谷原から登ることにしました。
急な登りを一気に登り上げるコースというのも気に入りました。
高い壁があれば挑戦したくなる、というやつでしょうか。体力ないんですけどね。
■YAMAP
■Garmin
Day1
Day2
大谷原〜赤岩尾根登山口
テン泊装備 |
駐車場はわりかし空いていました |
親切ですね |
林道歩きです。
緩やかに登っていきます。
途中分岐などありますが、標識があるため分かります。
ゲート前の標識に各山荘の営業状況が書いてありました。毎年書いてくれてるんでしょうか。有難いことです。
かっちょいい |
秋ですなぁ |
男心をくすぐる |
行きは繋がりませんでした。帰りは繋がった |
一箇所ケイタイポイントなる場所がありますが、mineoのdocomo回線の私は繋がりませんでした。しかし帰りの時は繋がったので、ガスの状況などにもよるようです。
しばらく行くと人工滝の下にあるトンネルを通ります。滝の裏側って初めてかも・・・。
トンネルを抜けたらそこは、不思議の街でした。。。なわけなくて登山口となります。
滝の裏側 |
登山口に到着です |
赤岩尾根登山口〜高千穂平
少しだけ平行に移動した後、長い登りの始まりです。樹林帯の急登を延々と登り上げていきます。
トラバースもほぼなくとにかく登って登って登りつくします。そろそろ疲れたなぁなんて思っても容赦なく登りでございます。
登りの途中に休憩スペースも1,2箇所あるかないかです。木階段、鉄階段が随所に出てきます。
この中でやっかいなのが木階段で、後で悩まされます。所々朽ちてはいますが登りは特に問題ないかと思います。
途中鎖場も出てきます。登りは使わずとも行けなくはないですね。
これ、帰りがやっかい |
所々紅葉に癒されます |
ちっと休憩 |
途中抜いて行ったパーティが、少し行ったところで休憩ー!と言ったけど私が追いついてしまったためか休憩を取りやめたみたいでそのまま登って行きました。
一度抜かれているということは、入れ替わったらまた抜かれなきゃいけないということで。お互い微妙な空気になりそうなのでアチャーと思いましたが、向こうもそう思ったのか行ってくれました。ちょっと無理をさせたのかなと少し申し訳ない気持ちになりましたが仕方ありませんね。若そうだったし、その後見かけなかったのでサクサク登って行かれたのでしょう。
綺麗 |
ちょっと日差しが出て来ました |
ガスー |
平ってほどではない |
そうこうしている内にいつのまにか高千穂平に到着します。
高千穂平〜冷乗越
高千穂平は平という感じの地形ではなく、尾根上の少し広いところ、と言った具合。
まとまった休憩を取るには良いのかなと思います。
高千穂平でもほとんどガスに巻かれて何も見えません。
チラッと鹿島槍北峰らしきものが見えましたが全容は分かりません。
元より午前中は雲予報なので気にせず登っていきます。
槍? |
崩れています。細いので注意 |
結構足が上がらなくなってきてる |
おそらくガスがなければ高千穂平付近は樹木はあるものの見晴らしは良さそうです。
白馬の街も見えるんじゃないでしょうか。
もうしばらく行くと白樺平があります。
こちらも尾根の上にちょっこりだけある休憩スペース。樹木は払われているので、おそらく鹿島槍が見えるのでしょう。
白樺平から先はコース難度Cに分類されていました。確かに今までの道とは違って尾根が細くなり、慎重に歩く必要が出てきます。
もふこやん! |
4羽ほど |
ちょっと冬化粧 |
ここ結構細いです。写真だと何がなんだか |
鎖つきのトラバース |
最後の方は岩壁をトラバースで登って行く感じで、かなり細くなっています。ガスなので緊張感がないのが逆に怖いですが、鎖をしっかり確保しながら歩きます。
このあたりで雷鳥に出会いました!
冬化粧に衣替えしている最中のようで、白が所々混じっていてかわいいです。安定のモフモフ感。
ただ岩場で足元もおぼつかないため慎重に写真を撮ります。夢中になって落ちたら洒落にならない。
鎖のトラバースを越えて少し行くと冷乗越に到着です。
乗越からは稜線なので景色が良さそうですがまだガスに巻かれています。テントを張るため冷池山荘に向かいます。
冷池山荘〜テン場
冷乗越から少し下ってちょっこり登ると山荘に着きます。この時間はテン泊の人かな |
山荘の中でテント場の受付を済ませます。
山荘内部は想像以上にしっかりしている&綺麗でした。
トイレも水洗で臭くない。凄い。
グッズも豊富だったのでついいろいろ買ってしまいました。
テン場は利用料1000円。
水1Lサービス券がもらえます。(通常150円)
番号を書いたプレートをもらい、テントの見えるところにくくりつけておくよう説明を受けます。
17時にスタッフの方が回収しにくることで、テント利用者の確認としているみたいです。
私は11:30頃に着いて6番目でした。
山荘営業終了間際、翌日が平日でこれなので、ハイシーズンは午前中に着かないとテント泊は無理そうですね。
1番乗りは10時台には到着しないと無理なのかな?
さて、冷池山荘のテント場の特徴が
見晴らしが良いこと
傾斜気味なこと
山荘からわりと登ること
です。
まず山荘から5分程登ります。
ちょっと傾斜もある普通の登りなので、酔ったりしてるとちょっと危ないかも。
トイレに行くにも登り返しを思うをちょっと億劫になりますね。
テン場への道 |
見晴らしはとても良く、西側に張れば立山連峰を眺められるし、東側に張れば鹿島槍も眺められます。
中央エリアの手前東西に1張りずつ、ハイマツに囲まれた所があり、風を避けられそうです。しかしハイマツの根が出たりしていたのでやめておきました。
中央のエリアの見晴らし良さそうな西端側に張ることにします。見た目は平らなので良さそう、と思い設営開始。
翁ヶ岳 |
見晴らしの良いところに設営 |
2回目なので説明書を見ずに立てていきます。あーだっけ、こーだっけ、と思い返しながら。
もっと回数重ねてサクサク立てられるようになりたいですね。
フライの四隅は岩がゴロゴロ転がってるので岩で固定します。
ペグも刺さらないわけじゃないです。
設営完了し、一休み!と思って横になると・・・めっちゃ斜め!笑
もう固定までやっちゃったんで移動もめんどくさいしまぁいいかと。寝ることは出来そうなくらいだったんで。見た目だけでは分からんもんですね。
ですがテントからは剱岳が見える絶好のロケーション!素晴らしいです。
一目でそれと分かる剱岳 |
ここで一旦荷物をサブザックに詰め替えます。今日の内に翁ヶ岳を往復するためです。
サブザックはカリマーのデイパック。
かなり嵩張りますが、肩ベルトは普通の大きさなのでコットンキャリアを無理なくつけられます。
山荘まで下りて昼飯を取ります。
食料計画として1日目の昼は山荘に頼ることにしていました。
カレー食べたいなぁと思ってたんですが、カレーは売り切れ。生ビールも売り切れのようです。営業終了間近なので仕方ないですね。
ラーメンをいただく事にします。
靴を履いたままなら土足で入れる自炊室を勧められたので自炊室でしばし待つ子。
サクッと出てきたラーメンは醤油味のシンプルなラーメンです。
麺は中太でしっかり目、チャーシューとほうれん草も載ってて中々のクォリティでした。
美味しかった。
山荘を後にして翁ヶ岳へ向かいます。
綺麗です |
普通にうまい |
冷池山荘〜翁ヶ岳(中峰)
山荘からはゆるゆると登っていきます。この頃には雲が大分取れてきて、翁ヶ岳から立山連峰も良く見えるようになってきました。立山と剱岳をこの目で見るのは初めてな気がします。
結構見えてきた! |
ラスボス感が凄い |
乗越まで戻ってきた |
剱岳って名前からしても山容からしても完全にラスボスですよね。ザクザクしてます。
カッコイイ。
翁への登りは緩やかな稜線をゆるゆると登っていきます。
翁ヶ岳は三峰に分かれており、北峰へは道がついておらず、中峰が最高点です。
途中翁ヶ岳の東斜面が見える地点がありますが、西側とで山容が全く違います。
西斜面はハイマツと岩のなだらかな斜面で、穏やかな山容です。
東斜面はハイマツがない切り立った斜面に枯れ木があるのみ。枯れ木が髭のようにも見え、褐色の山肌から翁のようにも見えます。おそらく翁ヶ岳の名前はこちらを見てついたんではないでしょうか。
街から見えるのは東斜面です。
うおおおおおぉぉぉ |
ゆるく登る |
しょっちゅう振り返る |
翁ヶ岳東斜面 |
近くに見えて意外と遠い稜線あるあるを感じながら、少しずつ歩いていくと中峰に登る分岐があります。
急な斜面を少し登ると翁ヶ岳中峰に到着です。南には針ノ木岳、蓮華岳。西に立山連峰を臨み、北には鹿島槍が見えます。
東は麓の街を見下ろせるのでしょうが、雲海が広がるばかりです。
稜線は見えているより距離がある |
中峰の分岐。ここまでくれば |
ちょっと急だけど中峰まではすぐ |
針ノ木岳は針ノ木峠が分かりやすい形をしているのですぐに分かりましたが、蓮華岳がびっくりしました。
針ノ木岳から見た蓮華岳と全く山容が違います。
例えて言うなら針ノ木岳から見る蓮華岳はオーム(王蟲)を正面から見た感じで、翁ヶ岳から見る蓮華岳はオームを横から見た感じです。
西から見た蓮華岳は端正で美しい山容だと感じましたが、北から見た蓮華岳は間延びしている印象を受けます。
見る角度でこうまで印象が違うとは、なんとも不思議なものです。
南峰。今回はスルー |
種池山荘だ |
山頂 |
左:蓮華岳 右:針ノ木岳 |
元々針ノ木岳を見たくて翁ヶ岳に来ているので、中峰から見えたので良しとします。(南に行くのがめんどくさかったわけじゃないです多分)
冷池山荘に引き返して行きますが、今度は鹿島槍が目の前に聳え立ちます。
しかも雲間から少し太陽光が差してイイ感じに美しい。
さて、引き返します |
イケメンすぎるでしょ |
かぁ~。かっこいい! |
冷池山荘とテント場 |
惚れ惚れ |
鹿島槍は南峰、北峰の双耳峰です。
塩見の双耳より距離があるので双耳というより南峰が北峰と布引山を従えている、という感じですね。蝙蝠が羽を広げているようにも見えます。
槍がつく割にはあまり槍のような印象は受けない丸みを帯びた山頂ですが、麓から眺めるとまた違うのでしょうか。
こちらも西側斜面は急峻な斜面で、どうやら日本に現存する数少ない氷河らしいです。
氷食作用で削れて行きこのような山容になっているとのこと。wikiさんによると。
理屈はともあれ言えるのは
カッコいい
ひたすらにそこです。
鹿島槍というとなんだか槍ヶ岳の二番煎じのようで最初はあまり興味が湧きませんでした。しかしなんのなんの。
後立山連峰主峰の名に恥じぬ荘厳な雰囲気の山容です。厳粛、と言えば良いのかなんなのか。
北アルプスって人気があり過ぎて有名所は避けていたんですが、人気の理由は伊達じゃないですね。
こんなん見たら誰だって好きになるし、また来たいと思います。
日本百名山の中で深田氏も双耳峰の吊り尾根の美しさに言及しています。
また鹿島槍独特の山容を以下のようにも表現しています。
『一口に美しいと言っても、笠ヶ岳のように端正でもなく、薬師のように雄大でもなく、剣岳のように峻烈でもない。そういう有り合わせの形容が見つからない、非通俗的な美しさである。粋という言葉が適当しようか。』
深田久弥 著 日本百名山 鹿島槍ヶ岳より引用
鹿島槍に見惚れながらサクサクと降りて行き、テントまで戻ります。
なんでしょうね、このテントに戻る時のお家に帰る感。夢のマイホームですね。
立山。雄山、富士の折立ですかね。 |
別山? |
峻烈な山容 |
鹿島槍南峰 |
北峰 |
テント場
テント場に帰るとさっそく1杯ビールをいただきます。
プシッ、ゴクッゴクッ、くぅ〜!
かえってきた |
いただきます! |
って感じです。
テン泊装備で結構歩いたのでクタクタです。
こんな時に飲むビールは格別ですね。
持ち上げた500ml缶の他に山荘で350ml缶を追加したんですが、翌日を万全の体制で臨むなら1本にしとくべきだとちょっと後悔しました。お酒好きだけど弱いので。
因みに山荘のビールは麒麟の一番搾りでしっかり冷えてましたね。
そして本日のメインディッシュ、肉!
今回はテント泊のためにクッカーを新調しました。肉を焼くためのフライパンが欲しかったからです。
うめぇ! |
手始めにウインナーを焼きます。
ジュウジュウです。
が、外はよく焼けるんですが中に火が通りません。仕方ないで食べて焼いて食べて焼いてを繰り返します。
でもうんまい。
そして・・・メインの肉!
静岡牛のちょっといいやつを冷凍して持ってきました!
さぁ焼くぞ!
カチッ
カチッカチッカチッ
・・・・
シュゴーって言わなくね?
ん?
まままままさか。
ガスがない!?
やってしまいました。
やらかしました。
まさかのテント泊で残り少ないガス缶を持ってくるというポカミス。
とりあえず非常食関係で明日はなんとか持つし山荘もあるから死ぬことはないけど・・・
いやいや下手したら危険じゃないですかこの状況。
お肉を無駄にしたのも凹むし、危険な状況を作ってしまったのも凹むし・・・。
反省しきりです。
ガス缶の残量管理しなきゃいかんですね。
てことでウインナーと米は食べれたものの、用意した他のものは全く食べれずに終わりました。悲しい。
自分の確認不足なので仕方ないですね。
夕景も雲によってあまりマジックアワー的な空は望めませんでした。
テント場には心なしか一眼レフ勢が多く、ニコキャノのエントリーモデル、Sonyのαシリーズが目立ちました。Df持ってるお姉さんが1人いてびっくりしました。
夜のとばりが。。。 |
あとはやる事がなくなったので小説を読んで過ごします。
今回はダウンやら防寒具を充実させたので寒さは感じませんでした。
気温は5月末に行った前回とあまり変わらず4℃程度。前回はかなり寒い思いをしましたが今回は大丈夫そうです。
21時前頃には就寝します。
テント場〜鹿島槍ヶ岳(南峰)
3:30に起床。
五目リゾットが水でも作れたので作りましたが、注意書きにある通り水だとあまり美味しくないです。食欲もなく多少残して出発します。
ヘッデンをつけ、まずは布引山まで登って行きます。最初はハイマツの中を平行に歩き、途中から登り始めます。
登り始めて暑いなと思いフードを脱ごうとした時にはずみでヘッデンが外れて落下。
それだけなら特にあぁ落としちゃったくらいだったんですが、なんと電池がない。
蓋が開いちゃったんですね。
焦ってスマホのライトで探すと三つともあったので事なきを得ました。
というのも予備電池持ってるんですが、サブザックに移し替えてなかったんですよね。意味無い。
流石に細い部分もあるような稜線上、しかも月明かりも満足もないのにヘッデンが使えないとなると明るくなるまで待機するしかありません。そうなると大幅に行程に遅れが生じてしまいます。
今回はガス缶といいヘッデンといいリスク管理がなってないですね。良くないです。
何はともあれヘッデンは使えるようになったので行動を続けます。
布引山まで淡々と登り上げ、布引山の山頂はスルーします。
布引山を過ぎると鹿島槍が目の前に立ちはだかります。
しばらく細めの稜線をゆらゆらと歩いて行き、鹿島槍核心部の登りに取り付きます。
と言っても急登にジグザグで道がつけてあるので淡々と登り続けます。
道はザレ場です。
昨日の酒の残りなのか朝食が不足しているのか分かりませんが、ザックが軽いにも関わらず身体がうまく動きません。
ですが登らないことには始まらないので
心を無にして登り続けます。
到着! |
思い思いに喜ぶ人々 |
いつしか鹿島槍の山頂に到着します。
鹿島槍山頂に着き、北側を覗くとそこには後立山連峰の美しい稜線が待っていました。
伸びやかな八峰キレットの先に五竜岳、五竜岳の向こうには唐松、白馬岳が見えます。
何より白馬岳が本当に白いことに感動。
あちらもいつか行かねばと思います。
すごぉ |
私の祖父は後立山連峰が好きで、この稜線の縦走を幾度となくやったと聞いています。
厳冬期に歩いた手記も残っており、いつか同じように歩けると良いと思っていますがまだ先の話ですね。
しかし見れただけでもまずは嬉しいものです。
五竜岳に唐松岳 |
奥には白馬岳 |
八峰キレットから五竜への稜線 |
北東には鹿島槍の北峰が聳え、西を見れば剱岳、立山が。南を向けば翁ヶ岳、針ノ木岳、蓮華岳、槍まで見えます。
立山の南に大きな山がありましたがあれは薬師でしょうか。
立山と剱岳 |
薬師? |
南側 |
一望できる |
ご来光は残念ながら雲が多く見れませんでしたが、360度の絶景に大満足です。
登って気づきましたが鹿島槍は後立山連峰の中で最も高いんですね。それで遮るもののない見晴らしがあるわけですね。
素晴らしい。
八峰キレットの手前にキレット小屋がありましたが、思ったより鹿島槍側にありました。
八峰キレット自体は中々長そうな稜線に見えます。2泊が安全ですが、キレット小屋利用でなんとか1泊でも行けそうな感じはします。
北峰 |
山頂をしばらく堪能した後コーヒーでも飲みたいところでしたがガスがないので仕方なく下りにかかります。
下りは下りで翁ヶ岳まで続く稜線が美しいですし、右手に常に立山と剱岳を見れるので全く見飽きません。
布引山には下りで寄りましたが、鹿島槍を眺めるには良い場所ですね。ご来光があるなら布引山山頂から鹿島槍のモルゲンロートを拝むのも良さそうです。
下る最中もずっと立山と劔が見える幸せ |
気温は低いけど行動してるからかさして寒くない |
切れ落ちる氷河地形 |
下りはサクサクと下ってきて、テン場に到着。一息ついたら撤収にとりかかります。
ちゃっちゃと片付けていきますが、テント付属のスタッフバッグに中々入らず苦戦します。テント用を別に買おうかな。
テント撤収完了した後ザックを背負うとあまりの重さに一瞬めげそうになりますが、頑張って背負います。
布引山山頂 |
チングルマが面白いことに |
ひと眠りしたいのをグッと堪えて |
撤収 |
ありがとうございました |
山荘の方は皆親切でした |
山荘に降りて水を補給します。
針ノ木小屋でも思ったんですが、冷池山荘の方々もいろいろ声をかけてくださってありがたいです。また来たくなりますね。
山荘を後にし、冷乗越まで登り返します。
大谷原ルートでいいところは翁ヶ岳まで登り返さなくていいところですかね。
天気が良ければ高千穂平までは見晴らしも良さそうです。
ここを左にそれる |
冷乗越〜高千穂平
ここで立山連峰とはお別れです。名残惜しく写真を撮り、大谷原の分岐から下っていきます。
ガスがないと中々の高度感 |
ひょえー |
鎖で慎重に |
翁ヶ岳らしい山容 |
いざ雲海の中へ |
登りではガスに巻かれて緊張感がなかったんですが、今度は雲の位置が低くしばらくガスがないため緊張感が増します。
崖に細いトラバースなので慎重に進みます。
登りよりも下りの方が重心を気をつけないとバランスを崩しやすく、一歩一歩慎重にいきます。
特に今回はテント泊装備で荷物が重いため、荷物に振られて滑落が怖いですね。
このクラスのルートを通る時はもっと軽量化を考えた方がいいなと感じました。
まっしろけ |
しばらく緊張する場面が続きますが、白樺平を過ぎれば危険箇所はほぼありません。
高千穂平までは見晴らしが良さそうなところを下っていきます。
左手にはずっと鹿島槍が見えるのが嬉しいところですね。
高千穂平まで下りるとこの先は樹林帯なので鹿島槍ともお別れです。
あぁ名残惜しい。
と言っても下らないわけにも行かないので下ります。
高千穂平〜登山口
後はひたすら下るだけです。が、ここに来て雲の中にあった登山道が露で濡れています。
乾いていればなんてことのない道ですが、濡れていると難易度倍増ですね。
ひたすらこのような道を下ります |
岩も濡れると要注意 |
こいつが厄介。かなり滑る |
岩も滑るのは当然の事ながら、木の根がとにかく危ない。
微妙に乗ってるだけでもズルっていくんですよね。そして木の根を踏まずにいくなんてほぼ不可能。
特に木階段がヤバかった。
出来るだけ使わないか、滑らないスタンスで下りるようにしていきました。
サレワのCrowについてるビブラムソール、乾いてる時はめっぽう強いんですが、濡れるとからきしダメなんですよね。
多少でも濡れてると途端にグリップせず滑りやすくなります。
ドイツ設計イタリア生産だったかな?
ヨーロッパアルプスは濡れた登山道ってないんですかね。それか基本クライミングなのかな。
日本アルプスは森林限界以上は強風が吹く地帯ですし、雨の時、直後以外は基本乾いているように思います。雲も水分が少なくないと上まで上がってこれないでしょうし。
しかし樹林帯は違いますよね。
アルプスの高山も、登山口からしばらくは必ず樹林帯を通ります。
樹林帯では滑りやすい木の根と岩のミックス。そして雲は水分をたっぷり含んでおり、雨が降らなくても地面は濡れる。
樹林帯と森林限界以上の性質の異なる状況を歩き通すには、やはり輸入靴では適応しないのでしょうか。
硬いビブラムでも濡れた場所を安全に歩く技術があれば身につけたいですが、道具を変える方が安全な気がします。
もちろんビブラムでもMEGAGRIPなどの濡れに強いモデルもあるようです。
元々の設計思想が森林限界以上であれば、樹林帯で使うのは設計想定外ですから文句言っても仕方ない、道具を使い分けられていないだけだと言われればそれだけのことですが。
ただシューズとしてはシャンクが固く岩場が歩きやすいところや、靴そのものが軽量なところは気に入っているのでソールを張り替えるのも一つの手ですかね。
とかなんとか考えながら下っていくと滝の音が聞こえ始め、登山口付近の滝が見えてきます。
見えてきたー |
登山口まで帰ってきました |
昨日より紅葉が良く見える |
その後もひたすら降り続けると登山口に辿り着き、後は林道を歩いて終了です。
しかし登った時の方が長い時間かかってるんですが、体感的には下の方が長く感じます。
不思議なものですね。
お疲れさまでした |
所感
ガス缶
今回はなんとかなりましたが、やはりガス切れというのは致命的。イワタニの250Tを使ってますが、途中から残量が分かりにくいんですよね。
後どれくらい使えるの?っていうのが。
対策として
・メインの他に110Pを予備で常に携帯しておく
・新品時と空の時の重量を計り重量で管理する。(250T:新品時379.0g、空時151.4g)
上記から新品時で約227g程度のガスが封入されているため、残り100gを切ったら泊まりには持っていかない、50gを切ったら山に持っていかないなど自分ルールが必要かな。
サブザック
やはりデイパックでは嵩張る。畳めるものはショルダーベルトが貧弱です。
畳めてショルダーベルトがある程度しっかりしているものを探すしかないですかね。
またテント内で食事の後、しっかり次の日の準備をしてから寝るべきでした。
最低限必要なものは移し替えが簡単なようまとめとくべきでした。
当たり前と言われればそうなんですが、そんな当たり前が身についていない残念な自分なのでこれから身に付けるしかないですね。
ヘッデン
重要装備にも関わらず落下で電池が抜ける事を想定していなかったし、そもそも落としたのがマヌケですね。これも対策が必要そうです。
落とすのは気を付けるしかないにしても、電池蓋が簡単に開かないようにするにはマスキングテープで止めておくか。。。でも衝撃で取れないとも限らないし。
ロック出来るモデルを探した方が間違いないですかね。
登山靴
既に長々と書きましたが、サレワに付属するソールが樹林帯にあっていない。やはりモンベルのtrail gripperなど濡れにも強いソールにすべきでしょうか。
しかしサレワが一番足に馴染んでいるため、モンベルに乗り換えるのもそれはそれで不安がある。
悩ましいところです。
Garmin Instinct
UltraTracモードなるものがありまして。
GPSの測位頻度を下げる代わりにバッテリー消費を抑えると。
宿泊登山にピッタリじゃないか!
と思って使いましたが。。。結果が冒頭のGarminのログです。
GPS、ぐっちゃぐちゃ。通常のモードだとしっかり補足出来ているので、このモードだからですね。ちょっと使えません。
しかもテントの床に置いといたら放射冷却で冷えたのか、気づいたら電池がモリモリ減っておりログが途切れる始末。
結局充電しながら使うしかなさそうですね。
バッテリー容量が多そうな上位モデルは倍以上の値段だし。ウーム。
撮影機材
今回必要な機材だけを持参したく、広角と標準は決まっていたのですが望遠を悩みました。AF-P 70-300は描写は良いし重量も許容範囲ですが嵩張るんですよね。長い。
いや望遠だから当然ですけど。
そこで28-200Gを望遠担当として持ち出しました。軽く大きさもコンパクト、高倍率の割にはそこそこ写ると評判。
が、やはり厳しいものがありました。
光線状態が良い時はたしかに悪くないんですが、ガスや曇りがち、遠景になるともうダメ。これなら70-300にしとけば良かったと少し後悔しました。
人に譲ってしまいましたが、やはり沈胴式でコンパクトな55-200 VR2を買い直すか。
また標準担当の16-80ですが、またしても昨年の赤岳の時と同じ症状が出ました。
合焦の信号が出ないのです。
モーターは動くんですが、ピントが合ったピピっが鳴りません。
もちろんシャッター優先の設定にも出来ますが、普通に不具合か故障な気がします。
今回発見したのは広角側だけで見られる症状だということ。望遠側では普通に合焦します。
他のレンズに変えた時は問題ありませんのでレンズ固有の問題か、レンズとボディの組み合わせで起こる問題のようです。
ただし起きる状況が
- 森林限界以上
- 遠景を合焦ポイントにする
- 広角端
- 気温が低い(0-5℃程度)
という条件の元で起こるため、平地で再現出来ないという厄介な不具合です。
それでも症状が起きてから点検に出していないため、どこかで一度出さなければなりませんね。
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