日帰り:北アルプス前衛峰 焼岳 ~冬の北アルプス。初ラッセルの辛さと乗鞍、穂高、笠の景観に圧倒される~
SCWで見ても15:00くらいまでは雲一つなし。(直前の更新では12時には雲が出てきていましたが)
これは行くしかないと有休をとって北アルプス焼岳へ。
元々この時期に北アルプスで自分が行けるとしたら焼岳くらいしかないでしょうと。
前回硫黄岳で撤退した悔しさもあったため今回はなんとしても登頂したい。したい。
硫黄岳での反省点を踏まえて行動食を多めに持参し、行動を止めない方針にする。
結果的には1人では登りきれなかったと思います。途中で後ろから来られたガイドさんやソロの方がラッセル交代してくれたおかげでなんとか時間内に登頂出来ました。ありがとうございます。
中の湯温泉〜登山口
中の湯温泉は1週間前から駐車場の予約が可能なので前日に予約。
予約時に冬季ゲートは手で開けて入ってと教わりました。(4WDスタッドレスである必要があります。)
焼岳登山口への道を教えてもらい出発です。(建屋の裏側)
よし行くぞ、となって目に飛び込んできたのは消えかけたトレース。硫黄岳のラッセルを思い出してちょっとうろたえます。
火曜に人が入ったレポがあったのでトレースあるかなと期待してたんですが、甘かった・・・。
気を取り直して登り始めます。
峠の道路をショートカットして直登するので中々に急です。
樹林帯はチェーンスパイクでと思ってましたが最初からアイゼンつければよかったかと思いました。結局チェーンスパイク&キックステップで登っちゃいましたが。
2回目の道路と交差するところが登山口です。
この時点で予想より寒く感じ、オーバーグローブとサーマラップを着込みました。
登山口〜広場
想定以上の積雪量にワカン買っときゃ良かった・・・と後悔しながらツボ足で頑張ります。
急登が終わると傾斜は緩やかになりますがツボ足は相変わらず。
場所によってはガッツリ踏み抜いて死にそうになります。普段これくらいの斜度なら鼻歌まじりに登りますが、(ほんとか?)今日は傾斜は緩やかなのに足を上げる量が多くずっと登ってるようです。
また緩やかになってからちょいちょいトレース痕も消え去るので迷います。
ピンクテープもこのあたりは少なく、(埋まってる?)何度か
道間違い→歩きにくい→踏み抜く→体力をいたずらに消耗→ルート見つけて戻る
途中でSOYJOY補給して頑張ります。
予定よりかなり遅れてはいますがなんとか広場まで辿り着きます。
広場〜下堀沢出合
まだ少し樹林はありますが開けてきます。
霞沢岳、目指す焼岳、はるか向こうに木曽駒や南アルプスまで。
ここはピンクテープが見当たらず、とりあえず方角だけ確認しながら進みますがルートからずれているのかまぁ前に進みません。
結局登山口から出合までのコースタイム1.5Hに対して倍の3Hかかりました。普段夏道ならコースタイム0.8がけくらいなんですが、いかにラッセルが時間と体力を使うかよく分かりました。
やっとこさ焼岳が見えてきた |
途中ルートを確認するために少し高いところに登ります。
そこからは期待に違わぬ絶景が。と言ってもヒィヒィで感動する余裕がないという。
焼岳は近くに見えますがここまでの行程とラッセルを思うとたどり着ける気がしません。
そこからは期待に違わぬ絶景が。と言ってもヒィヒィで感動する余裕がないという。
奥穂高に前穂高 |
霞沢岳。想定外にカッコイイ。 |
焼岳は近くに見えますがここまでの行程とラッセルを思うとたどり着ける気がしません。
下堀沢出合〜南峰のコル
出合の時点で撤退するかどうかかなり悩みましたが、この時期にこれだけ好天に恵まれる事もなかなかないため行けるだけ行ってみることに。
おにぎりを補給しましたがやはりおにぎりはエネルギー補給にすごく効く。明らかに元気出るし、他のシリアルバーとかより持ちがいい。
出合から夏道は沢を登り上げてコルまで行き、北峰に向かうルート。
しかし谷の形状は雪崩の恐れがあるのではないかと思ったのと、沢を使えないとなると北峰に取り付ける気がしなかったので南峰に向かう事に。(南峰は夏場は崩落のため立ち入り禁止です。)
谷は雪崩が怖いです |
振り返って元気をもらいますが。。。挫けそう。 |
南峰であれば尾根を登って稜線に出れば取り付けそうです。
尾根への急な登りをまたまたラッセル。
ツボ足でもこれだけ大変だと胸の高さまでのラッセルとかとてもやりきれる気がしません。
途中まで登ってハァハァしていると、後続の方がチラホラと。
そのうちの1パーティがガイド登山。
ガイドのお兄さんがラッセルを交代してくれました。正直なところ、助かった〜と思いました。しかもガイドのお兄さんにここまでありがとうと言われ少し嬉しい。
ガイドさんのパーティが4人だったので、その後ろからついていきます。
先頭でガイドさんがラッセルし、後続3人がさらに踏み固めるのでその後登るのは今までと雲泥の差。普通に登れるってこんなに楽なんか、という感じです。
後ろで休憩させてもらったので、しばらく登った後に再度交代を申し出てラッセルします。
しかし今までの疲労が蓄積してるのか多少進んで結局再度交代してもらうことに。情けなや。
他にもソロのお兄さんが先頭に立ってガシガシ進んだりして、どうにかこうにかコルまで登り上げました。
1人だったら途中で諦めてたかも分かりませんが、ガイドのお兄さんに勇気づけられた事とラッセル交代出来たことでやはり登頂しようという気持ちになりました。
南峰のコル〜南峰
ソロの方がジャンジャン進んで行くのでそのトレースを追っていきます。
ここまで来ると風で新雪は飛ばされるようでアイゼンで登りやすくなっています。
硫黄岳の時と違い核心部はほぼ無風。
天候でこうまで違うかと実感しました。
また稜線上なので、後ろに乗鞍岳が雄大に構えています。奥には白山も見えて感動。
白山はその名に恥じぬ白く美しい佇まいです。
最後の岩を迂回して登って少し歩くと南峰の山頂に到着です。
苦労した甲斐もあって喜びもひとしおでした。
山頂は元々立ち入り禁止なので標識もなく狭いです。雪庇もあるためあまり乗り出さないように気をつけます。
山頂からは最高の景色が楽しめます。
北を向けば笠ヶ岳から槍ヶ岳への稜線に穂高連峰が連なります。
奥穂高の高い事。前穂から奥穂への険しい稜線もすごいです。
笠ヶ岳は以前夏に登りましたが見るのは初めてなので感動です。
そしてなんと言っても南の乗鞍岳。
ここから見る乗鞍岳が最高でしょう。
どっしりと構え、どこまでも茫洋と広がっている山体。きっとあの何処かに神が住んでいるんじゃないか、なんて思ってしまうような凄さがあります。
乗鞍岳はロマンチストに好まれる傾向があるみたいですが、分からなくもないです。
地図では近く見えるのに、笠ヶ岳から見る乗鞍と、焼岳から見る乗鞍でこんなに違うものかと。やはりいつか乗鞍も登らなければならないなと思います。
もちろん道路が通じているので家族で行くなら山頂付近を周遊したいし、ソロなら下から登ってみたいですね。
寒さもあるので長居せずに下ります。
あんなに苦労して登ってきたのに下りは早い早い。気温が上がって雪が緩んでるのでグダグダに降りて行けます。
一部シリセードで遊びながら。尻セード楽しい。
途中スキーで登ってる人がいました。
スキーのトレースを見るとかなり浮力があるんだなと分かります。
また縦横無尽に走ってて楽しそうだなと。
ただ普通のスキーだと逆ハの字で登りますが普通に登ってるので、シールでわりと登れちゃうんですかね。
樹林帯に入ったらひたすら降りるだけ。
3Hのコースタイムに対して登りは倍以上の6H越えだったのに対し、下りは2Hで降りて来れました。雪山の妙ですな。
温泉入りたかったけど現状も踏まえて遠慮。
そのまま帰路に着きます。
所感
ラッセル
1に体力、2に筋力、3、4が気合で5に体力。
技術ももちろん必要でしょうがベースとしてかなりの体力と筋力がないと、とてもじゃないですが1人でラッセルし通す事は出来ないと感じました。後は挫けない精神力。曰く、気合い。
加藤文太郎の凄さをほんの少しだけ感じる事が出来た、と言ったらいいでしょうか。
なんでもかんでも気合い、は嫌いですが、気合いが必要な時がある事も事実。
気合いというと陳腐ですが、挫けそうな時の自分に打ち勝つ精神力の事も、言い換えれば気合いでしょう。
今回でも相当にキツかったんですが、(積雪量43cmとかの記録をどこかで見た)胸くらいまでの積雪量があったらとてもじゃないけど樹林帯すら抜けられない気がします。
ホントに気が遠くなる。
この時期の雪山に入るには、数日前の状況を調べてまずトレースがありそうかどうかで計画の立て方を変えなければいけないですね。
そしてワカンは買おう。目的に辿り着くための道具は試さなければ。ストックも頼るのが嫌で使って来なかったけれど、必要なら買おう。
因みに新雪の下がクラスト状になっており、いったん手ごたえがあっても踏み抜く。
ふみふみして固めてから次の一歩を踏み出す感じですね。
上部は固くなってきていたので10本以上のアイゼンは必須。自分の10本爪は前蹴りした時にちょっと頼りないなぁ。。。でも12本爪は重いし。うーん。
因みに新雪の下がクラスト状になっており、いったん手ごたえがあっても踏み抜く。
ふみふみして固めてから次の一歩を踏み出す感じですね。
上部は固くなってきていたので10本以上のアイゼンは必須。自分の10本爪は前蹴りした時にちょっと頼りないなぁ。。。でも12本爪は重いし。うーん。
スマホ運用
iPhone6Sを今だに使ってますが、流石にバッテリー持ちが気になってきています。(利用4年経過、最大容量の78%)
日帰りでも切れる前提でモバイルバッテリー持って来てるんですが、充電ケーブルが取れる取れる。挿し直すが非常に面倒くさい。
外れる恐れのないケース一体型のバッテリーを買うか、そもそもスマホ買い換えるか、はたまた登山用に専用スマホを買うか。。。
androidの方がバッテリー容量に優れる機種が多いんですが、不具合やGPS精度が悪いとかいろいろ見かけるので二の足を踏む。
キャンペーンでついでに買ったandroidのquatab02もバッテリー容量は大きいけれどスリープが下手なのかアプリの制御が下手なのかなんなのか満充電から2日使ってないだけでバッテリー無くなる。そのくせ動作は重い。
まぁスペック低いから仕方ないかもしれないけれど、スペック高い機種でも問題が散見されるからなぁ。。。
カメラ
前回の八ヶ岳でも思いましたがD750はよく動いてくれる。だけど課題がいくつか。
広角、望遠担当でDXレンズを持参しました。
AF-P 10-20mmとAF-S 55-200mm VRⅡです。
実はこれらも焦点距離によってはFXモードで使用可能です。
AF-P 10-20mmは14-16mmの間、55-200は100mm以上ならけられずに使えます。
ただ周辺減光が強くヴィネットコントロールを強くかける必要があるのと、広角は周辺の流れが強い。それでもコンパクトに超広角や望遠を持ち歩けるのはメリット。
だけど雪山で余裕が全然ない時にけられるかどうかなんて気にしていられない。
帰ってきたら案外けられてたとか、水滴ついちゃってたとかミスが散見される。
それくらいなら18-35を持って行った方がいいんだろうか。。。
だけど嵩張るわりに画角が物足りないし。。。うーん。
また今回Tokinaの28-70mmF2.8を持って行った。
AT-X270 Proというモデル。レビューは別途したいけど、結構良かった。
ネットで見かける評判はあまりよくないけど、全然使えるじゃんといった感じ。
しかしFXにしてボケを簡単に得られるようになったのはいいけどシステムが難しいなぁ。
行動食
今回プロテインバー、SOYJOY、おにぎりを行動食として大休止をとらない方針にした。
SOYJOYは食べやすいけどそんなにエネルギー持たない感じ。おにぎりはかなりエネルギー持つけど凍りそうなのと日持ちしない、重量があるのが難点。
プロテインバーもSOYJOYと同じく一過性な感じ。
ただ八ヶ岳の時に根石に向かうのがとてもきつかったのはやはりエネルギー不足。
シャリバテだ。コースタイムから甘く見ていたがやはり夏山よりも体力を使うのでシャリバテに気をつけなければならない。
ラッセルも時間はかかるけど、エネルギーさえ足りていれば続けることは出来る。
ただ時間と残り食料との闘いではある。
また凍傷も食べて動いていれば、天候が良ければ大丈夫だと分かった。(会ったガイドさんは登りはなんとベースレイヤーのみ?で腕まくりさえしていた。)
休止時間が長いと相当しっかり保温対策をとらないと危険だ。
使用機材
・Nikon D750・Tokina AT-X270 Pro 28-70mm F2.8
登山で超広角の世界 | レビュー Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR
NIKKOR 10-20mmの実写レビュー。軽くコンパクトで安価なのに写りは良い。登山では滝や稜線を写すのに欠かせない。軽いから荷物に追加しても苦にならない。
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