レンズレビュー:NIkon AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR



2年ほど使用して、ようやっと気が向いたのでレビュー記事を書こうかと思います。

NIkon AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

APS-C用の金環ナノクリ便利レンズ。
フードの作りに最高の意気込みを感じます。
いかんせんデカすぎますが、それも愛嬌です。
後述しますが自分は他のフードを流用しましたが。

落ち着いてまずはスペックから。


スペック

焦点距離

16-80mm。フルサイズ換算で24-120mmのNikon定番の焦点距離です。
DXのレンズでは広角側で16mm(24mm)は結構珍しく、あまり選択肢がありません。
しかし24mmの画角というのはパースが生き始める画角、かつ室内で距離が取れない時でも苦労しにくい画角です。
要するに便利。

また120mmは望遠領域に足のつまさきを突っ込んだくらいの画角なので豊かなボケが得られ、圧縮効果も感じられ始めます。

この開放F値、鏡胴サイズ、重量でこの焦点距離を使える事に意味がある。

F値

小三元と呼ぶクラスです。
F2.8-4ですがF4通しと思って使いましょう。

DXでボケを得るには不足するF値ですが、ファインダーの明るさや絵に雰囲気を持たせる事が出来ていると思います。
また屋内イベント撮影に多用しましたが、スピードライトを使用しない時でも許容範囲のISO値でたいていはこなせていました。

重量

480g。実測もそのくらいです。
これも500g以内に抑えてある事が良いですね。
登山ではコットンキャリア+D500+本レンズの組み合わせが多かったです。
FX用の24-120mmF4Gは正直山に持って行こうと思いませんが、これは比較的軽快に扱えます。重量バランスもいいんでしょうね。

余談ですがNikonのGレンズは旧タイプのDレンズより鏡胴サイズは大きくなっているものが多いですが、バランスが良くなっているのか同じくらいの重量でも軽く感じる事が多いです。Dレンズは重く感じがちですね。主観ですよ、主観。

最短撮影距離

0.35m。大事ですね。これは。
テーブルフォトもこなせますよ。テーブルフォトに使うにゃあデカイレンズですが。

花撮りもとても小さい花でなければそこそこいけます。

AF

早くありません。普通です。普通。
D500のキットレンズという視点で見るとむしろ遅いかなと思うくらいです。

ただ自分は動体を撮る機会があまりなかったのでさして不便には感じませんでした。

実写

f3.31/125035 mmISO 640

f2.81/125016 mmISO 100

f4.51/125038 mmISO 100

ピント面はよく解像し、ボケは癖が少ないかなと思います。
EXPEED5と相まって色味も自然でコントラストも十分。

f81/32016 mmISO 100

開放からよく写りますが、絞り込んでいっても描写に大きな変化はないように思います。
APS-Cのレンズは元々解像しやすいレンズの美味しい部分を使い、周辺減光なども少ないため良く言えば優秀、悪く言えば味気ないとも言えます。

時間や重量が限られる登山のようなシーンでは撮影と山行のバランスを取るには良いシステムですけどね。

f81/40016 mmISO 100

f41/200070 mmISO 1600

f2.81/25018 mmISO 800

人を獲る時は解像しすぎず、望遠側はボケも得やすいため使用しやすかったです。
解像力だけであれば他により秀でたレンズは多くありますが、総合力ではかなり高いレベルでまとまっていたという印象です。

不具合

実はこのレンズ、私の個体だけなのか他の個体もそうなのか分かりませんが、低温下(低気圧?)にてAFが合掌しない症状が起きました。
最初は10月後半に行った赤岳。

登山口で10℃以下。行者小屋までは問題ありませんでしたが、地蔵尾根を登って行きそろそろ稜線にとりつくか、というあたりで突然シャッターが切れなくなりました。

焦る。

稜線まで出てからAF-Cに切り替えたりAF-Sに切り替えたり、AF範囲を変えてもダメ。
AF自体は正常に作動していそうだし、VRも大丈夫。ピントは合うんだけどカメラ側で合掌している事を認識出来ていないっぽく、シャッターが切れない。

もちろん合掌しにくいところにAFしているとか初歩的な話ではなく。

MFに切り替えれば当然シャッターを切れるし、一緒に持っていたAF-P DX 10-20mmは問題なく合掌してシャッターを切れる。

えええぇぇ。という感じ。

稜線上でもおそらく0度付近くらい。

その時はなんとかやりすごしましたが、下ってくると何事もなかったかのように合掌、シャッターを切れるようになりました。
その後もイベントや下界で使用する分には何も問題がおこらず。

しかしメインで使用するレンズだけに、山の上で使えなくなるとダメージが大きいです。
それでしばらく低温になる山には持ち出さずにいました。

下界で症状が出ないのでサービスセンターに持っていくのもなぁと思い、結局サービスセンターには持っていきませんでした。

その後、同じく10月後半の鹿島槍でも早朝の稜線上で同じ現象が起きました。
もうこれは持病だと思い山に持ち出すのをやめました。
その頃には古いレンズに目覚め始めたり、D750を購入したこともあり使用頻度が減っていきました。

おそらくサービスセンターに持ち込んで修理すれば問題なく使えるようになったかもしれませんが、そこまでしなくてもいいかなと思ってしまった次第です。

もちろんメーカーが定める(と言っても仕様には書いてないが)温度範囲は0℃以上がNikonでは普通です。しかし他のレンズは問題なく使えるってのがなんともモヤモヤするところです。

他のレンズはAF-S、Dタイプなどでも-20℃とかでも使えて感動したくらいです。
なのでこのレンズ特有のものか、個体の不具合かどちらかかなと思います。

所感

元々FX用の24-120mmF4GをDX用に作ったものかなと思っています。
DX初のナノクリ、電磁絞りなど最新技術も入っています。
電磁絞りは恩恵がいまいちよく分かっていませんが。

登山で自分にとって挑戦になる計画には本レンズとAF-P DX 10-20mmのみ持参するシステムでした。
他に持っていける余裕がない、というシビア目な状況に答えてくれる頼もしいレンズです。
屋内、屋外のイベント撮影にも多用しました。というかほとんどこのレンズ。
イベントも自分が参加者側なので、望遠レンズではなくこの画角が使いやすいのです。

その代わり単焦点のように自分の予想外に綺麗に撮れた、感動した、なんて面白さはないレンズです。
自分がイメージした通りの結果を8割方は返してくれる。その代わり予想外は滅多にない。

仕事などには向いているんじゃないかなと思います。

因みにD500につけるとベストマッチな感じがしますが、試しにD3300につけたところ余りのバランスの悪さに笑いました。レンズにボディがつく感じですね。

フードはびっくりするくらいデカイですが、フルサイズの24-85 f2.8-4D用のHB-25が流用可能なのでそちらを使っていました。フード大きすぎてカバンに入りません。

総じて欠点が少ない優等生なズームレンズ、という印象でした。

    



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