Garmin Instinctを登山目線でレビュー
そもそも初のスマートウォッチです。
購入動機
登山中の心拍数を記録したいと感じたのがそもそもの発端。
塩見岳への登山中に思いましたが、長い山行では後半かなりバテてきます。
塩見岳は前半の三伏峠までで3時間程度、標高差1000m、7kmほど登り上げます。
いつも通りのペースで登りましたが、その後に縦走でアップダウンを繰り返しながらさらに7km進みます。途中で激しい登りというわけでもないはずなのに全く足が上がらず辛い思いをしました。点線ルートを使った事も影響しているようには思いますが、塩見小屋に着いた頃にはヘトヘトでした。
それはそれで達成感があって良いんですが、やはりある程度余力を残した登山をしたいところ。そのためにはペースを上げすぎない事が重要かと思います。
しかしペース、と一言に言ってもそれってどれくらい?となるわけです。
一般的には心拍数220から年齢を引いた心拍数が最大心拍数の目安と言われ、登山に適した心拍数はそこの70%や、180-年齢などいろいろな事が言われています。
しかし上記もあくまで一般論であり、自分自身に落とし込む場合は自分を測定するところから始めなければなりません。
という事で心拍計が欲しい、となるわけです。
因みに以下の書籍が心拍の事も分かりやすくかつ理論的に書かれており、筆者の実体験&実験ベースで書かれているため非常に参考になります。
要件
・心拍計がつくこと
・GPSがあること
・高度計があること
・コンパス機能があること
・一定以上の防塵防滴防水性能を持つこと
・耐衝撃性能があること
・バッテリーが最低限日帰り登山は十分に持つこと
・5万以内
・カッコイイこと
以上が必須要件でした。
アウトドア用の時計に求める要件+登山要件といったところでしょうか。
GPSがあればスマホの補助になるかなとも思いました。
モデル選定
タフな腕時計と言えばG-SHOCKくらいしか最初は思い浮かびませんでしたがGPSや心拍計などはなさそう。
Amazonでは心拍計付きGPSスマートウォッチの中華製品が氾濫していますが、どれもアウトドアで使うには信頼性に欠けます。日常使用のおもちゃならいいですけどね。
CASIO Pro Treck
YMAPとコラボしているCASIOのPro Treck Smart。
心拍計付きはスマートウォッチモデルのみ。心拍計を除けば従来のモデルでも良さそうですが、今回欲しいのは心拍計。
かと言ってPro Treck SmartはYAMAPも入れて地図も見れるなど欲しい機能全部盛りな感じはしますがいかんせん高額。予算ギリギリです。
そして高額な割にバッテリーが全然持たなそう。
購入時点で発売していたのはWSD-F20のみ。バッテリーがGPS測位すると公称値で6~8時間。短い日帰りでもギリギリで、長い日帰りではアウトです。
またカラー液晶は日差しが強いアウトドアでは見にくいのではないかという意見も見かけ、難しいなと思い脱落。
現在はバッテリーが20時間持つWSD-F21HRというモデルも出ているようですね。
SUNTO
調べ始めて知りましたが有名なメーカーなようです。
登山用の腕時計では定番の一つのようですが、丸形のかなり大きなウォッチフェイス、ヌルっとしたデザインがいまいち好きになれません。
ガンダム好きとしては腕時計みたいなメカメカしいものには角ばったラインの方がそそられます。
後比較的高額なモデルが多いため脱落。
Garmin
Garminは腕時計のイメージはあまりなく、ハンディGPSのイメージでした。
GPSの信頼性はGPSの発祥であるアメリカ企業らしくピカイチらしく、精度が良いというレビューを多く見かけます。
ラインナップが多くどれを選べばよいのかが分かりにくいなぁと思っていたところ目に留まったのが、
Garmin Instinct
です。
どうやら当時は発売したばかりらしく、まだあまりレビューは見かけなかったものの、MIL規格に準ずる耐環境性能を持つところやGPSもGLONASS、GALLERIOに加えみちびきにまで対応しているので期待が持てます。
通知なども可能なスマートウォッチでありながら、液晶画面を敢えて暗め&低解像度のものにする事で晴天時の見やすさやGPS使用時のバッテリー14時間という機能を達成しています。
14時間あれば通常の日帰りはまず大丈夫でしょう。
そして何より
安価&カッコイイ(重要)
まるで登山用に作りましたよとでも言わんばかりの機能性に加えてこのカッコよさ。
色もTundraの白色が他の腕時計にはない色でカッコイイ。
因みに発売当初は3色展開でしたが、人気が出たのかカラーラインナップが増えました(うらやましい。。。
てことで購入決定です。
他にもよりスマート色の強いForeAthleteなんてモデルも安価で良いですが、デザインはInstinctの方が好みなのとどちらかというとランニング向けっぽかったのでやめときました。
実機レビュー
着け心地はしなやかです。
Tundraの色は渋めの白色という感じで、ウォッチフェイスの黒と相まって良いコントラスト。
登山のアクティビティが用意されている |
心拍数もすぐ確認可能 |
このライトで心拍を測定している模様 |
充電口。これが曲者。。。 |
スマートウォッチなのにタッチパネルじゃないというストイックぶりですが、ボタン類は押しやすく雪山でグローブをしていても操作に問題ありません。ボタン自体も押しやすいです。
またウォッチフェイスは好きなようにカスタママイズ出来るため、自分が必要な情報を
必要な場所に配置して見ることが出来ます。
GPSを使用しない場合、日常的につけていても1週間くらいはバッテリーが持ちます。
週末充電くらいで良いので充電頻度にストレスはありません。
心拍計、GPS以外にも良いなと感じたのは高度がGPSと気圧の両方で取れるのがいいなというところ。現在地点の標高や、目的のポイントまで後何mかなどの目安になります。
また心拍計は最近知りましたが設定した心拍を超えるとバイブでアラームを鳴らすことも可能なようです。
スマホとの連携はGarmin Connectのアプリ版を使用してbluetoothで接続します。
登山後に接続するとデータをスマホに飛ばして見やすい解析画面で数値を確認できる他、自動でwebにアップロードして共有も可能です。
選択出来るアクティビティに登山があるので、登山を選択するだけで必要な情報はだいたい出てきます。(高度、コンパス、現在地、心拍、ペースなど)
心拍計で計測した心拍から睡眠やストレスレベルなんかも見れるのが面白いですね。
ウォッチフェイスは外で日が差した状態で見ても良好な視認性です。
GPS高度と気圧高度。補正も可能です。 |
天気情報も。反射していても視認しやすい。 |
良いところ
・デザインが猛烈にカッコイイ
・MIL相当の耐環境性能(耐熱、耐衝撃、耐防水)
・ペース管理が可能な心拍計がついている
・日帰り登山をカバーするバッテリー性能(GPS&心拍計ONで14時間)
・登山というGPSに不利な環境でも精度よく測位するGPS(UltraTrac除く)
・連携するアプリ(Garmin Connect)が見やすい&分かりやすい
・ピストンであれば帰りはコースに乗っているか外れているかが分かる
・スマートウォッチとしての最低限の機能はある(通知やスマホ連携)
悪いところ
充電ケーブル
付属の充電ケーブルが最悪です。裏面に差し込む専用のケーブルですが、嵌め込みが甘くケーブル自身の弾力で外れてしまう始末です。
かと言ってうまく固定するのも難しく、そっとしておく他ありません。
日常的にはそれでもなんとかなりますが、テント泊の時にモバイルバッテリーで充電して就寝しましたがやはりケーブルが取れてしまって翌日は最後まで持ちませんでした。
心拍計測はあきらめて充電しながらGPSを取りたい時もとても使えたものではありません。
何故こんなケーブルが採用されているのか謎です。
追記
後日購入したfenix 6xのケーブルはしっかり刺さり、簡単には外れませんでした。
fenixより差込口が緩めなのは確か。
だけどたまたま品質的にガバなものにあたってしまったか。
バッテリー性能
バッテリーは公称値は14時間ですが、実際は10時間持つかどうか、と言ったところです。8時間以内の山行ならほぼ持ちますが、10時間越えの日帰り登山では休憩時の充電や一時停止は欠かせません。だけど疲れてる時に腕時計に気を配ってる余裕がないのでおろそかになりがちです。
バッテリーが落ちれば無用の長物ですからもう少し安心して使用できる容量が欲しいですね。
実際何度かバッテリー落ちで使えなくなった時がありました。
また低温下では劇的ではありませんが、多少バッテリー性能が落ちる印象です。
またバッテリー残量をパーセントで表示出来ないため満充電されているのかがハッキリしないところもマイナスです。
追記
出ましたね。ソーラー充電モデルが。2万ほど差額がありますが、ソーラー充電のおかげで大きなネックのバッテリー性能が満足いくものになり、それでいてfenixの半額程度ですからなかなかのコスパは変わりありません。
登山をする人は+2万出してソーラー充電モデルを買うことをお勧めします。
UltraTracモード
バッテリー持ちをさらに伸ばすためのUltraTracモードなるものがあります。
GPSの測位頻度を落とすことで持たせるわけですね。
しかしこのUltraTrac、山で使うGPSとしては使い物にならない印象です。
以下は鹿島槍にテント泊した時のGPSをUltraTracモードで記録したものですが、ぐっちゃぐちゃです。ルートくらいは判別出来るでしょうが距離や高度はめちゃくちゃなので記録としては使い物になりません。
街中では検証してないのでわかりませんが、少なくとも障害物の多い山では難しいということです。(稜線でもばらけてますが)
因みに以下は茶臼岳・上河内岳でテン泊した時の通常のGPS単体で使用した時の精度。これなら全く問題ないですね。GarminのGPS測位自体は優秀な事が分かります。
GPSボタンの位置
右上にあります。そしてGPSボタンはトラックの開始と終了をつかさどります。
左手首につけて腕を曲げると。。。?
そう、気づかない内にうっかりGPSが止まってしまってアクティビティ終了になっていたことがありました。
まぁ右手につけてもいいんですが腕時計は普段左手で慣れているので。。。
その辺ボタンカスタマイズも自由に出来たらいいんですがそうもいかないので悩ましいところです。何故かキーロックにしといても解除されてたことがあり謎。。。
気温計
腕時計の気温計は皆そうかもしれませんが、体温を拾ってしまっているのか明らかに気温より高い数値が出ます。ザックなどに取り付けておけば正確な数値が出るのかもしれませんが、それでは心拍計が使えません。
おそらくセンサーの位置が裏側(手首側)にあるのでしょう。
写真とはまた別ですが、
2月の北アルプス焼岳で平均23℃ってありえないでしょう。
なので気温は特に見ずにアナログの気温計を使ってます。
総評
悪いところも書きましたが、この価格でGARMINの本格GPSやGarmin Connectでの分析を利用出来て、心拍計もついているとなるとコスパが良いなと感じます。
日常生活や自転車での軽いポタリング、通勤などではなんの不満もありません。
あくまで登山でガッツリ使う場合に不満点が出てくるかなと言ったところです。
機能がとても多いんですが全てボタン操作なので素早く操作するには慣れが必要です。
説明書を読むのが苦にならない、ガジェットは好きだから使いこなせる人はコスパよくGarminを味わえるためおすすめです。カッコイイし。
価格的に2台目用で気分でつけかえるのもいいかもしれません。
ただバッテリーはいかんともしがたいなぁと思っていたところ上位機種のfenixの記事が目に留まり調べてみると、fenix 6xはなんとバッテリーがGPSオンで驚異の60時間。
しかも昭文社の山と高原地図が全てプリインストールされているという徹底っぷり。
10万越えで価格は高いですが、InstinctでGarminのGPSの良さやConnectの便利さも感じたし、fenixに乗り換えるかな。。。
追記:fenixに乗り換えました。
Garmin fenix6x を今さらながらレビュー
Garminの最上位モデル、fenix6xを1年使い倒したのでレビューしてみる
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